2021.10.16

解体工事における地中障害あれこれ

事前の見積にどうしても含み切れないものの一つが「地中障害」。
これらの存在が発覚するのは解体工事の工程でも最終局面になります。
上物が終わって基礎上げをしてみたらその下から何やら異物が・・・

工事完了がもう間近、というところで事態は急転します。
お施主さんや元請さんに急いで連絡し、どこから何がどれくらい出そうで、追加の金額はどれくらいになりそうで・・・などを伝え、工事続行の確認をもらいます。
予想外の出費でお客様も頭が痛いところですが、私たち業者も現場が止まってしまうことも多く、同様に頭が痛いです。

地中障害物の種類としては使われなくなった浄化槽や前時代の建物の廃材や古基礎などが比較的多いケースとしてあげられます。
廃材の中でも内容がコンクリートガラだけなら処分費はそれ程高額にはなりません。
しかし、様々な種類のガレキが混合されているものですと分別不可品として、単価はコンクリートガラの数倍になってしまします。
さらにその中に石綿含有を疑わせるスレート片などが混在してしまうと、さらにもう一段金額が上がってしまったりします。

今では考えられませんが、「よくぞこの上に家を建てたな・・」というレベルの現場もあります。
特に城東エリアでは東京大空襲の跡らしき焦げたガレキの層が埋もれていることがあり、中には深さ2m近くまで及んでいたこともあります。
もはやここまでになると地上の建物の解体費用を遥かに超えてしまい、工期も予定の倍以上というケースもありました。

他にも、珍しいケースとしては煙突の基礎や防空壕、巨大な用水路跡なんてのもありました。

ついでながら、「障害物」とは言えないかもしれませんが「不発弾」が出てきたこともあります。全長30㎝ほどの砲弾(?)が一つ出ただけでしたが、なかなかの騒動になりました。
庭木の伐根作業しているときにポロリと出てきたそうですが、そこらに捨てられるわけもなく、産廃の処分場も当然受け入れられるところはありません。
まず警察に報告することになりますが、瞬く間にパトカーが何台もやって来て、非常線を張られます。
当然、ご近所の皆さんは何事か、と野次馬の人だかりに。
タイミングが悪いと(良いと?)テレビクルーもやってきます。
それから現場検証班らしき人たちがやって来て、最後に自衛隊員のような人たちが来て、「不発弾」を回収し、非常線が解かれ、ようやく静かになりました。

地中障害物のあれこれ、でした。
2021.10.04

解体工事におけるアスベストの規制強化スケジュール

本来は「石綿障害予防規則の改正」と呼ばれますが、簡単に言えばアスベストに関する規制が年々厳しくなっていきます。
詳細はページ下方の厚労省HPのリンク先をご参照いただきたいですが、

大きなポイントとしては、
1:木造建物も含めた「全棟」が、石綿含有の調査対象になりました。特に外壁!(2021年4月から)。
2:石綿の有無に関わらず調査結果を役所に電子届出しなくてならない。(2022年4月から)
3:事前調査を行うのに資格が必要になる。(2023年10月から)

かなり端折ってますが、詳細は↓

職場における化学物質等の管理のあり方に関する検討会について (mhlw.go.jp)
改正石綿則の周知・広報事業ポータルサイト (mhlw.go.jp)

思わずホンネが・・

年々、石綿にまつわる健康被害が明らかになり、改めて石綿の危険性が取りざたされていますが、今回の調査対象に加わった外壁塗材及び下地は木造一般住宅でもごく普通に使用されていたものです。
(実際に含有している確率はかなり低いらしいですが・・)

解体工事においても、正直ここまでなにも気に留めることのなかった部分です。

それが調査の結果、石綿が含有していることが判明すれば、20-30坪の木造住宅でも撤去費用として100万-200万円など簡単に追加費用がかかってしまいます。

新たな健康被害を生み出さないために今回の法改正がありますが、費用負担する側からすればいきなり費用が2倍になる勢いの話です。簡単に「仕方ない」で片づけられるレベルではないですよね。

私らも、お客様から時々「概算でいいから幾らくらいか教えて欲しい」と言われます。

「だいたい200万円くらいですかねえ・・でも外壁に石綿入ってたら400万くらいですかねえ・・・」

これじゃ概算とすら言えないですよね。